今回は、ママやパパたちにも知ってほしい「ワクチン」のお話です。
ワクチンには、国の法律に基づいて公費で受けることができる「定期接種」と、希望する人たちが費用を自己負担して受ける「任意接種」があります。
日本では以前、小児科医たちが「がっかりする」と嘆くほど子供たちへの「定期接種」の数が少なかったのです。しかし年々、受けられる数が増えています。
そこで、今回は鹿児島県小児科医会のメンバーで、「いぢちこどもクリニック」(鹿児島市吉野1丁目)院長の伊地知 修ドクターに解説してもらいました。
Q.なぜ、子供たちにとってワクチンは必要なのでしょうか。
重い病気を防げる。ワクチンを接種したおかげで命が助かったり、周囲に病気をうつさなくて済むなど、色々なメリットがあるのでワクチンは、乳児期から積極的に始めてもらいたいですね。
Q.定期接種になっていることでママやパパたちの負担もない?
昔からすると、ずいぶん定期接種の数が増えています。私が13年ほど前にクリニックを開院した時は、院内で打つ定期接種は3つでした。
それが今は10種類ほどに増えています。
年々定期接種は増えていて、来年の10月からはロタウイルス(急性胃腸炎を引き起こす感染症)のワクチンも加わることになりました。
今ロタウイルスについては国内では2社のワクチンがあり、2回打つものと3回打つものとありますが、接種費用は合計 約3万円という高いワクチンです。
このワクチンが、来年10月からは定期接種化されるため、子供たちは公費で接種できるようになります。
Q.このほか、ワクチンの種類として「不活化ワクチン」「生ワクチン」がありますよね。どう違うのですか。
生ワクチンは生きたウイルスや細菌を弱毒した(症状が出ないように免疫が作れるぎりぎりまで弱めた)製剤です。接種すると、しばらくして、病気と似たような症状が出る場合もあるので、例えば生ワクチンの「麻疹・風疹ワクチン」を打つと、10日ぐらいして発熱や発疹など、元々の病気に似たごく軽い症状がでることがあります。
不活化ワクチンは、四種混合や日本脳炎などがそうですが、ウイルスや細菌の性質をなくして(免疫を作るのに必要な成分だけを)製剤にしたものです。接種しても、ちょっとした熱が出たりする反応はありますが、1回の接種では免疫が充分にはできませんので、何回か打たないと抗体ができないため、3回などの追加接種が必要です。
生ワクチンは大体2回。接種回数が少なくなります。
ドクターの話にもあったように、日本でもロタウイルスのワクチンが来年10月から「定期接種化」されることが発表されました!
これで「2020年8月以降に生まれる赤ちゃん」から、公費で計3万円ほどするワクチンが無料で受けられることになります。
でも、たくさんの種類があるワクチン。赤ちゃんにどの順番で打っていけばいいのか? ママやパパになったばかりの人たちには分かりませんよね。
ワクチンスケジュールについて、伊地知院長に教えてもらいました。
デビューは「生後2カ月から」が、理想的なのだそうです!
Q.まず、最初に接種するワクチンは何ですか。
最初は2カ月からワクチンデビューということで、ヒブ、肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎この4つが2カ月から始めるワクチンです。
ロタウイルスは現在は任意接種ですが、先ほども話したように来年10月から定期接種になります。(他は定期接種)
Q.取材の際、赤ちゃんが、左右の手足に複数のワクチンを接種する様子を目にします。ママたちからは「大丈夫なの?」と心配の声も聞こえてきそうですが…
皆さんからも「そんなに打って大丈夫ですか?」と聞かれますが、何本まで接種できるという制限はありません。例えば左右の手に4カ所、足に2カ所などでも問題ありません。また複数打ったから副作用がでるんじゃないかということも、余り心配しなくていいと思います。1つ打っても副作用がでる人はでるし、5~6本打ってもでない人はでない。
何が大事かというと、赤ちゃんは生後6カ月になるとお母さんからの移行抗体が無くなるので、それまでに全てを済ませることです。
生ワクチンを打つと、4週間は他のワクチンを受けられません。不活化ワクチンでは、次のワクチンまで1週間あけないといけません。そういう理由でどんどんあけていくと、済ませるのが生後6カ月を過ぎてしまうのです。例えば髄膜炎は生後6カ月ぐらいから発症してくるので、それまでに全てを済ませておきたい。
複数のワクチンを同時接種していけば4週間間隔で、生後2カ月から接種していくと、5カ月でBCGまで打っておしまいになります。そうすると生後6カ月になると大体予防はできていることになるわけで、重い病気が防げるのです。
アメリカでは以前から医療機関で接種するときに「How many?(何本打ちますか)」と聞かれるそうです。
いぢちこどもクリニックでも取材に伺ったこの日、多くの乳幼児がワクチンを接種していましたが、4本など複数打つ様子が見られました。
「ワクチンデビューは生後2カ月から!!」これがキーワードです。
そのためには、赤ちゃんを産んだらまず身近なところで小児科医を見つけて、早めに相談に行ってみることも大切です。
なお伊地知院長は、産科医院と連携し「プレママセミナー」に出かけ出産を控えたママたちに、ワクチンの接種スケジュールなどについて説明しているということです。
妊娠中から知識があれば、出産後の不安もなくなります。
それから「おたふくかぜ」もワクチンがあり、これも任意で受けるワクチンですが、院長は小児科医の立場として「できれば接種してほしい」と語ります。その理由は次回のこのコーナーで紹介します。
「ワクチンスケジュール」については、小児科医らがメンバーになっている「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会 NKOW★VPD!」のホームページに詳しく紹介されていて、伊地知院長は「これを、ぜひ参考にしてほしい」と話しています。
VPDとは=「ワクチンで防げる病気」のこと。ワクチン接種のスケジュールはもちろん、ワクチンの種類についてもとても分かりやすく説明しています。
ママやパパたちは、どうぞチェックしてみてくださいね!
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