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鹿児島のパパ、ママ、赤ちゃんの役立つ情報をご紹介します。

スマイルベイビーニュース #49
ついに完成!!「かごしまリトルベビーハンドブック」完成までの歩み

2023年3月15日放送

早産などで小さく生まれた赤ちゃん、リトルベビーのママたちが県を動かし、「かごしまリトルベビーハンドブック」がこのほど完成しました。
番組では、ママたちの1年3カ月の奮闘に密着してきました。

かごしまリトルベビーハンドブック

令和2年、鹿児島県内では42人の赤ちゃんが体重1000g未満で誕生しています。

今回紹介する「かごしまリトルベビーハンドブック」は、体重が1500g未満、または妊娠期間32週未満で誕生した赤ちゃんの成長などを記録できる、母子健康手帳のサブブックです。
 

妊娠した時に交付される母子健康手帳は、成長記録のページの体重の目盛りが1キロからになっています。

1000g未満で生まれた子どもを育てている家族にとって、目盛りが「1キロ」からになっているというのは、とても辛いことでした。

鹿児島リトルベビーサークル“ゆるり”が始動

鹿児島県に「リトルベビーハンドブック」を作って欲しいと声を上げたのは、早く小さく生まれた子どものご家族でした。

その皆さんが立ち上げた
鹿児島リトルベビーサークル“ゆるり”
2021年12月に行われた最初の交流会に、私たちもお邪魔しました。
 

ゆるりの代表、高野裕子さん。
4歳の男の子のママです。
 

ご主人の転勤で鹿児島に来て、妊娠。
その直後から、異変を感じていました。

(高野さん)
妊娠11週から管理入院で、かかりつけの産婦人科に入院。
ドクターストップがかかって、鹿児島で出産した方がいいって言われ、出産することになりました。
 

高野さんは、23週と1日めに破水。
緊急帝王切開で赤ちゃんが誕生しました。
体重476gの男の子でした。

(高野さん)
次の日に息子に会いに行ったんですけど、私が想像していた赤ちゃんの姿とはかけ離れていたので、正直びっくりした。
子供用の綿棒くらいの指の細さで、かわいいっていう表現がそのときの私には難しくて。

でも、徐々に愛おしい存在だなと思えるように。

(高野さん)
手術も多かったので心配は尽きなかったけれども、保育器の中に手を入れたり、抱っこ出来るようになったり。
少しずつ触れるようになって、成長を感じていました。

出産から半年で退院し、自宅で始まった育児は不安でいっぱいでした。

(高野さん)
早産した後に、自分に思い浮かぶ一つ一つの気持ちが、「こんなこと思うの、私だけじゃないかな」とか…。

その後高野さんは、地元福岡の家族会を知り、オンラインで参加しはじめました。

(高野さん)
私が「こういうことが不安なんです」って言うと、「みんなそうだよ、大丈夫だよ」って声かけていただいて、すごく励まされので。

(高野さん)
鹿児島にも家族会があるといいなと思っていたところ、福岡の家族会から山元理英さんを紹介され、初めて鹿児島で早産児ママの友達が出来た。
 

(高野さん)
山元さんと話をして、お互いの不安をわかり合えたことで、救われました。

ママや家族が気持ちを理解し合い、支え合う家族会が必要だと、「かごしまリトルベビーサークル“ゆるり”」を立ち上げました。
 

これからのママたちに、私たちが出来ることは何だろう

(山元さん)
母子健康手帳の成長曲線のところで、すごくへこんでしまって。
体重が1キロしか記入出来ないんです。
うちは520gだったので、枠外に点を打つしかないんですけど、すごく辛かった。
 

(高野さん)
今早産したママ、これから早産が予想されるママたちに、​私たちみたいな辛い思いをさせられないって。
お世話になった鹿児島に、なにか恩返ししたいと思っていた。
主人の転勤でいつまでいられるかわからないけれど、リトルベビーハンドブックを作る時間が残されているかもしれないと、動き始めました。

かごしまリトルベビーハンドブック作成へ

2021年10月に活動を始めたリトルベビーサークルゆるり。
12月には、鹿児島県庁を訪れます。

高野さんは息子のこと、リトルベビーのことを伝え、塩田知事も真剣な表情で聞いてくれました。

2022年3月、県議会で「かごしまリトルベビーハンドブック」の作成が決定。

5月には、医療関係者など、リトルベビーの出産や育児に関わるメンバーが集まり、ハンドブック作成のための意見交換会が開かれました。
そこには高野さんの姿もありました。
ハンドブック作成の始まりです。
 

「リトルベビーハンドブック」の表紙や挿絵のイラストは、ゆるりのママたちが描きました。

かごしまリトルベビーハンドブック、ついに完成

作成開始から8ヵ月。
ママたちの願いだった「かごしまリトルベビーハンドブック」が、ついに完成しました!!

成長を記録するページは、体重の目盛りが0からになっていて、1000g未満で生まれた子どもの成長も記録できます。

(高野さん)
うれしいですね。
子どもを産んだときに欲しかったものが出来て、満足しています。

NICU(新生児集中治療管理室)という、リトルベビーが治療を受ける場所についての説明があります。
 

自由記載のページには、リハビリやフォローアップ外来の記録などができます。
 

配布場所は
県内6つのNICUがある病院
鹿児島大学病院
鹿児島市立病院
いまきいれ総合病院
済生会川内病院
県民健康プラザ鹿屋医療センター
県立大島病院など
そして、市町村の窓口となっています。

先輩ママからのメッセージ(抜粋)

”今あなたが感じているかもしれない不安や心配・複雑な気持ちを同じように私たちも抱えてきました。保育器の中で一生懸命生きる我が子をただ見守ることしかできず、自分の無力さに涙していた時間は言い表せないほど辛いものでしたが、泣いた日、喜んだ日々を経て今日を過ごしています。

赤ちゃんが小さく生まれたことはママのせいなど思う必要はなく、様々な条件が重なりたまたま起こったことなのだそうです。
(中略)
周りにはあなたの味方が大勢いますので、ひとりで頑張り過ぎず、気掛かりなことは気持ちを抑えずに話してみてください。”

(かごしまリトルベビーハンドブック/先輩ママからのメッセージから引用)

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